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身近な人が認知症になったら…。私たちはどう付き合う?

2019/11/8


家族の物忘れがひどくなったとき、どのように向き合ったら良いのかと悩む人もいるでしょう。認知症と向き合うためには、認知症の症状や進行の仕方を理解しておく必要があります。介護疲れしてしまわないよう、ゆとりをもって認知症患者と付き合うポイントをつかんでおくようにしましょう。

この記事では、身近な人が認知症になったときの対処法などを紹介します。

認知症ってどんな症状なの?

認知症を理解するためには、まず物忘れと認知症の違いを理解する必要があります。

物忘れは脳の生理的な老化が原因であり、疾患ではありません。ゆるやかな進行である物忘れは、忘れっぽいということを自分で自覚していることが特徴です。

それに対し、認知症は脳の神経細胞が破壊されることによって起こり、自身で忘れっぽいことを自覚していません。認知症が進行すると、食事や排泄などの日常生活にも支障を来すようになります。

認知症の半数はアルツハイマー型認知症であり、次いでレビー小体型認知症、血管性認知症などがあります。アルツハイマー型認知症は女性に多くみられ、もの盗られ妄想や徘徊などが特徴的です。

大脳の側頭葉にある海馬が萎縮することによって、記憶力低下につながります。認知症は早期から適切に治療を行うことで、進行をゆるやかにすることは可能です。

レビー小体型認知症は男性にやや多く、幻視や妄想、パーキンソン症状などがみられるようになります。自律神経症状を伴い、便秘や失禁などもしやすくなります。

血管性認知症は脳梗塞などにより脳の一部が壊死し、引き起こされる疾患です。麻痺などの運動障害が残るケースもあり、車椅子や寝たきりの生活になることもあります。

認知症の特徴的な症状として、食事をした体験や人と会った体験などを記憶しておくことが難しくなることが挙げられます。症状が進むと、見当識障害と呼ばれる日にち感覚の欠落が起こったり、段取り良く行動できなくなったりする場合もあるでしょう。

治療をすることや環境の変化などに恐怖感を抱き、徘徊や不潔行動などが顕著になるケースもあります。昼夜逆転して奇声を上げるようになるなどの症状や徘徊がひどくなると、日常生活を送ることも困難になります。

また、認知症は遺伝する可能性は低いといわれていることが特徴です。認知症が発症する要因には疾病や環境など、さまざまな影響が考えられます。日々に生きがいを見いだし、活動的に過ごすことが認知症を遠ざけることにもつながるといえるでしょう。

認知症って治るもの?認知症の進行の仕方を理解しよう

認知症には、治るタイプの認知症と治らないタイプの認知症があります。

治るタイプの認知症は、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫などです。このような疾患の場合には、血腫を手術で取り去ることなどで認知症の症状は消失します。しかし、発見や手術が遅れると、認知症の症状が残ってしまうケースもあります。そのため、脳疾患は放置せずに早めに治療を済ませるようにしましょう。

栄養障害、薬物やアルコールなどによる認知症も、症状が改善すれば認知症は治ると報告されています。認知症のなかでも有名なアルツハイマー病は、抗認知症薬と呼ばれる塩酸ドネペジルやリバスチグミンなどを投与することで症状の進行を1年ほど遅らせることも可能です。

認知症の症状は、中核症状と周辺症状に大きく分類することができます。

中核症状には見当識障害・記憶障害・遂行機能障害・失語などがあり、周辺症状には徘徊・攻撃・不安・無関心・過食などがあります。

認知症は、記憶障害と呼ばれる物忘れから始まるケースが多いことが特徴的です。短期的な記憶は失われるのが早いですが、長期的な記憶は比較的残される傾向があります。友人との約束などの短期記憶から失われるため、親しい人達とのコミュニケーションに困る場面も増えるでしょう。
見当識障害で失われる順番は時間・場所・対人関係であり、最終的には家族の顔を見てもわからない状態になります。

また、認知症の比較的初期のうちから、脳の前頭葉の萎縮などによって感情のコントロールが効きにくくなります。その結果、介護拒否をする人や興奮気味になってしまう人もいます。

それまで普通に行えていたことができないようになることで、尊厳が傷つき精神的に不安定になることもあるでしょう。介護をする家族は、身の回りの世話だけではなくメンタル面でのケアも行うようにしたいですね。

アルツハイマー型認知症の場合、病状の進行はゆるやかで年単位で徐々に悪化していくことが報告されています。認知症の段階は初期・中期・末期に分けられ、最終的には寝たきりになるケースもあります。病状の悪化や寝たきりなどを予防するためにも、認知症と上手に付き合い年を重ねていくことが必要です。

介護疲れしないための対処法とは?

認知症患者と共に日常生活を送り、日々介護をするということは家族にとって大きな負担になることもありますよね。介護者が小さな子どもの育児や仕事をしている場合には、ストレスが溜まってしまうこともあるでしょう。

介護は終わりがみえない部分もあるため、介護うつになってしまう人も少なくありません。介護疲れしないためも、対処法を理解しておきましょう。

まず、身体に負担をかけないために、介護者はボディメカニクスを理解し習得することが必要です。ボディメカニクスとは、介護をする場面で力学の原理を利用して自身の身体に負担をかけないための介護方法です。これを正しく習得することで、腰痛などを予防することも可能になります。また、全てに手を貸すのではなく、自身で動ける部分は積極的に動いてもらうよう促すことも大切です。

介護うつにならないよう、介護専用の窓口などへ相談しても良いでしょう。親しい人に話しづらいことも、専門的な場所へ相談することで的確なアドバイスがもらえるケースもあります。介護疲れで精神的に追い込まれてしまう前に、相談できる場所を確保しておくことが必要です。

認知症の症状が進行した場合には、デイサービスや介護施設の利用なども視野に入れると良いでしょう。ショートステイを利用すれば、30日間ほど入所することも可能です。施設入所などに経済的に不安がある人は、訪問入浴や訪問介護などで部分的に介護をサポートしてもらうようにしましょう。

また、行政サービスを利用することで、紙おむつにかかる料金の何割かが助成されます。介護サービス費が高額になったときには、費用負担を軽減できる国の制度も利用するようにしましょう。

経済的に緩和できるサービスの利用方法がわからない場合には、市役所に相談しにいくとアドバイスをもらえることもあります。

介護をするうえで大切なことは、認知症患者も介護者も無理をしないということです。無理をすることでストレスや不安は大きくなり、衝突することが増える場面もあるでしょう。利用できるサービスは積極的に利用し、介護者が心と身体に負担を溜めないようにすることで介護にゆったりと向き合えるようにしたいですね。

介護者は生活や仕事のためだけに過ごすのではなく、趣味や余暇を楽しむ時間も意識して作るようにしましょう。ときには旅行を楽しんだり気の置けない友人と話したりすることで、気持ちもリフレッシュできます。自身を大切にすることで、認知症を患う家族へも温かく対応できるようになります。

認知症と上手につきあうコツはゆとりをもつこと

認知症の多くは、長い期間をかけて症状がゆるやかに進行していきます。認知症患者も介護者である家族も、喪失感で悲観的になることもあるでしょう。しかし、ゆるやかに進む認知症を受け入れ、気持ちや身体にゆとりをもって過ごすことで認知症と上手に付き合えるようになります。

利用できるサービスなどは積極的に利用するようにし、負担のないよう認知症患者を介護していくようにしましょう。

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